保安検査について
成田国際空港をはじめ、日本国内の空港において、
ご利用の各航空会社が行っている保安検査にご協力ください。
保安検査の目的は"ハイジャック・テロ等の航空機強取行為を未然に防止すること"であり、そのためには、"航空機内に凶器や危険物、爆発物等を持込ませないこと"が重要です。
お客様に安心・安全をご提供し、目的地に向けて快適にご出発いただくためには、全てのお客様に保安検査を受けていただき、それらの危険な物を保安検査場で見つけ出すことが必要なのです。
保安検査については法律(航空法)にその必要性が明記されています。一緒に見ていきましょう。

1. 法律上の保安検査受検に関する記載
まず始めに、第131条2の5第4項(抜粋)を見てみましょう。
何人も、第八十六条第一項の物件(※1)その他の航空機強取行為等の防止のために危険物等所持制限区域内(※2)及び航空機内への持込みを制限することが必要な物件として国土交通省令で定める物件を所持していないことについて、空港等の管理及び運営の状況その他の事情を勘案して国土交通省令で定める者が行う検査を受けた後でなければ、危険物等所持制限区域内に立ち入つてはならない。
とあり、保安検査を受け、安全が証明されたお客様でないと、危険物等所持制限区域へは立ち入れない、つまり、その先にある航空機には搭乗することができないと書かれています。
※1 航空法第86条
爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で国土交通省令で定めるものは、航空機で輸送してはならない。
※2 危険物等所持制限区域
ご出発されるお客様が保安検査場を通過された後、航空機に搭乗されるまで滞在される、出国審査場や免税店、レストラン等並んでいる出発ロビーがあるエリアが危険物等所持制限区域です。
一方で、セキュリティの観点では空港等の管理者がハイジャックやテロといった航空機強取行為を未然に防ぐために、凶器等の航空機強取行為に使われる可能性がある物品について、その持ち込みを制限する区域でもあります。
一方、預入手荷物に対する保安検査については、第131条2の6に以下のように明記されています。
(預入手荷物検査)
第131条2の6(抜粋) 航空運送事業を経営する者又は第百三十条の二の許可を受けた者は、旅客の手荷物(携行品その他航空機の客室内に持ち込まれるものを除く。以下この項において「預入手荷物」という。)に前条第四項の物件(爆発性又は易燃性を有する物件として国土交通省令で定めるものに限る。)が含まれていないことについて、空港等の管理及び運営の状況その他の事情を勘案して国土交通省令で定める者が行う検査がなされた後でなければ、当該預入手荷物を航空機内に積載してはならない。
このように、預入手荷物についても保安検査が実施されなければ、航空会社は航空機内に搭載してはならないとあります。つまり、お客様、預入手荷物ともに保安検査を受けることが法律上の義務として定められています。成田空港では、インラインスクリーニングシステムという技術を導入しており、チェックインカウンターから預け入れた全ての預入手荷物はこのシステムを通り、保安検査が適切に実施されています。
また、この預入手荷物を含むお客様への保安検査は航空法施行規則の第235の4の9及び同施行規則第235条の4の16において、ご利用になる航空会社が行うことと定められています。

2. 罰則に関する記載
令和4年3月10日から、航空法の改正により保安検査に係る罰則規定が強化・追加されています。航空法第149の3及び、第157条の3の3によると、以下の行為を行った場合、定められた罰則が適用される場合があると書かれています。
- ・機内持込制限品を航空機内に持ち込むこと(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
- ・保安検査を受けずに危険物等所持制限区域に立ち入る等(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
3. 保安検査員の指示に関して
保安検査を受ける際の保安検査員の指示についても法律上以下の通り規定されています。
(危害行為の防止のための措置)
第131条の2の3
2. 空港等の設置者等の職員(空港等の設置者その他国土交通省令で定める者が国土交通省令で定めるところにより指定した職員であつて、危害行為の防止に関連する職務に従事する者に限る。次項及び第四項において同じ。)は、前項に規定する措置を適確に実施するため必要があると認めるときは、旅客その他の者に対し、当該措置の実施のために必要な行為をすること又は当該措置の実施を妨げる行為をしないことを指示することができる。
4. 旅客その他の者は、空港等の設置者等の職員から第二項の規定による指示があつたときは、正当な理由がない限り、その指示に従わなければならない。
このように、指示権限が付与された警備員や検査員からの指示には正当な理由がない場合には必ず従っていただく必要があります。
これらのことから、各航空会社によって、日本国内の空港におけるお客様への保安検査が行われております。成田国際空港は各航空会社と協力をしながら、航空保安対策を実施し、お客さまと航空機の安全を守っているのです。
この“セキュリティガイド”も成田国際空港から航空機に搭乗されるお客様が必ず受けることになる保安検査にまつわる疑問やトラブル等を少しでも減らし、快適に航空機をご利用頂く為に、検査のルールや各種制限について広くお知らせすることを目的として作成しています。保安検査場では、お客様に対し、上着及び靴を脱いでの検査、着衣の上から直接触れる接触検査を実施する場合があります。保安検査は航空法にもとづく検査ですので、保安検査員及び関係職員の指示にしたがって検査を受けて下さい。皆さまのご協力を改めてお願い申し上げます。
4. 航空保安について
航空保安について世界的な流れを少し解説させて頂きます。
民間航空に係る世界的なルールを決めている組織は国際民間航空機関(ICAO)です。
このICAOは、1944年に締結された国際民間航空条約(通称:シカゴ条約)を受けて1947年に発足した国連の機関で、日本も1953年に加盟しました。
ICAO加盟国は国際民間航空条約及び同条約の19の付属書(ANNEX)に書かれている標準及び勧告を守らなくてはなりません。
日本もこの条約を受けて、航空法並びに航空法施行規則を制定し法整備をしています。
特に航空保安に限っていえば、Securityについて書かれているANNEX 17に適合する為、更に詳細な保安措置を規定した「国家民間航空保安プログラム」を策定しています。それらに基づき、具体的かつ綿密な計画を策定・実施し、みなさまに安全を提供しております。
根拠法令等
■国際民間航空条約(通称:シカゴ条約)
- ・ANNEX 9 “Facilitation”
- ・ANNEX 17 “Security”
- ・ANNEX 18 “The Safe Transport of Dangerous Goods by Air”
■国際航空運送協会(IATA) Dangerous Goods Regulations
■航空法
- ・第86条(爆発物等の輸送禁止)
- ・第86条の2
- ・第100条(許可)
- ・第131条の2の3(危害行為の防止のための措置)
- ・第131条2の6(預入手荷物検査)
- ・第149の3(航空機内に爆発物等を持ち込む罪)
- ・第157条の3の3(危害行為の防止に関する罪)
■航空法施行規則
- ・第235条の4の9
- ・第235条の4の16
■航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示
- ・第27条(規則第194条第2項第4号の告示で定めるもの別表第18)
■危害行為防止基本方針