飛行コースについて

2.混雑防止にかかる飛行コースについて

2-1 混雑時における飛行コースおよび飛行高度について

2011年3月27日から、現在、航空機の遅延の一因となっている離着陸前後の上空での混雑を防止するため、航空管制上必要な場合に限り、空港南側への離陸便の飛行コースおよび空港南側からの着陸便の飛行高度が変更されました。

【南風運用時】混雑時における空港南側への離陸便の飛行コース

内容

南風時に九十九里方面に離陸する航空機は、洋上まで直進上昇した後に左右に旋回することを基本としていますが、混雑等によって航空管制上必要な場合に限り、高度が6000ft(約1800m)に到達し、かつ、騒防法第一種区域の外側に達した後に左右に旋回します。

騒防法第一種区域の外側とは

滑走路の南端から

  • A滑走路は、約13km(山武市松尾町猿尾地区付近)
  • B滑走路は、約10km(多古町牛尾地区および芝山町殿部田地区付近)

【北風運用時】混雑時における空港南側からの着陸便の飛行高度

内容

北風時に鹿島灘方面から飛来し、空港南側から着陸する航空機は、原則として、千葉県上空を6000ft(約1800m)の飛行高度を維持して飛行していますが、混雑等によって航空管制上必要な場合に限り、鹿島灘から陸域に入った時点で徐々に降下を開始し、陸域を抜けるまでに飛行高度を5000ftから4000ft(約1500~1200m)に下げます。

なお、飛行コースに幅を持たせた面的運用をしていますので、飛行コースの変更はありません。

2-2 混雑防止策導入前後の騒音測定結果について

混雑防止にかかる飛行コースおよび飛行高度の変更の導入時に航空機騒音の影響を把握するため、航空機騒音測定を実施しました。

測定期間は、混雑防止策が導入される前の2011年3月8日(火)~16日(水)(11日・12日は東日本大震災により中止)と、導入後の3月29日(火)~4月4日(月)のそれぞれ1週間ずつ、測定地点は、南側離陸による影響が予測される6地点(山武市・横芝光町・匝瑳市)と南側着陸による影響が予想される4地点(旭市・東庄町・銚子市)の合計10地点を関係市町との協議により選定しました。

測定の結果、各地点で若干の騒音値の増減はあるものの日々の変動幅に収まるものであり、混雑防止策の導入に伴う新たな航空機騒音の影響は、小さいものと考えられます。

測定結果

市町村測定地点(※1)平均騒音レベル(dB)WECPNL(※2)
実施前
(A)
実施後
(B)

(B)-(A)
実施前
(C)
実施後
(B)

(B)-(A)
山武市地点(1) さんぶの森中央会館60.459.6-0.848.043.2-4.8
地点(2) 山武市役所58.357.7-0.645.744.4-1.3
横芝光町地点(3) 小川台区民館55.754.8-0.952.952.3-0.6
地点(4) 入区民館58.256.6-1.654.953.8-1.1
匝瑳市地点(5) 八匝水道企業団54.554.6+0.141.042.5+1.5
地点(6) 匝瑳市立須賀小学校56.154.2-1.940.540.0-0.5
旭市地点(7) 旭市役所第2庁舎61.858.5-3.349.047.6-1.4
地点(8) 旭市役所飯岡支所60.461.0+0.647.445.9-1.5
東庄町地点(9) 東庄町保健福祉総合センター57.657.9+0.348.247.9-0.3
銚子市地点(10) 銚子市衛生センター56.958.9+2.043.543.7+0.2

※1 測定地点の位置は下記PDFをご参照ください。

※2 加重等価平均感覚騒音レベル(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level)のことで、国際民間航空機関(ICAO)が1971年に提唱した航空機騒音の評価指標です。最大騒音レベルのパワー平均値に、時間帯別(早朝、昼、夕方、夜間)の機数による補正を加えて算出されます。

3.同時離着陸方式の実施について

3-1 同時離着陸方式実施時の飛行方式について

成田空港では出発機が連続する場合、A滑走路とB滑走路に安全な間隔が確保できるまでの間、一方の出発機を地上で待機させるという、制限的な運用を行ってきました。2011年10月20日、上空での飛行コース、また到着・出発時の飛行コース逸脱を常時監視する管制官を配置したことにより安全性が確保されたことから、A・B両滑走路から同時に離着陸することができる同時離着陸方式が導入されました。これにより、空港施設面の整備と合わせて、1時間当たりの発着能力が大きく向上しました。

3-2 同時離着陸方式導入前後の騒音測定結果について

成田空港では、平成23年10月20日より、混雑時間帯に限りA・B両滑走路から同時に離着陸することができる同時離着陸方式が導入されています。これにより、空港の施設面の整備と併せて、1時間あたりの離着陸を処理する能力が大きく向上しました。この同時離着陸方式の導入に伴い成田空港における飛行コースが変更され、茨城県土浦市、かすみがうら市、美浦村、阿見町が飛行コース下となったことから、当該地域における航空機騒音の実態把握調査を実施しました。

調査方法

調査は、平成24年3月25日(日)~4月4日(水)の11日間実施し、その内最も騒音の影響が大きいと思われる7日間について選定しました。調査地点は、同時離着陸方式による影響が予想される6地点(土浦市2地点、かすみがうら市2地点、美浦村1地点、阿見町1地点)を、茨城県および関係市町村との協議により選定しました。当該調査地域では、成田空港に関連する航空機騒音のほかに、さまざまな航空機騒音が観測されたことから、評価対象を、(1)成田空港に関連する航空機騒音を対象にした場合、(2)その他要因によるもののみを対象とした場合※3、(3)すべての航空機騒音を対象とした場合の3通りに分けて算出しました。

※3 羽田空港の着陸機や、ヘリコプター、茨城空港および阿見飛行場からの小型機等。

調査結果

調査期間における測定結果は、騒防法で定める第一種区域※4の基準値(75WECPNL以上※5)を、すべての地点において下回りました。

当社では今回の調査結果を踏まえ、今後の動向に着目しながら騒音の状況を注視していきたいと考えています。

※4 騒防法(公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律)に規定されている騒音のレベルに対する区域の分類の1つです。第一種区域内の住宅の防音工事に対して助成の措置があります。

※5 加重等価平均感覚騒音レベル(Weighted Equivakent Continuous Perceived Noise Level)のことで、国際民間航空機関(ICAO)が1971年に提唱した航空機騒音の評価指標です。最大騒音レベルのパワー平均値に、時間帯別(早朝、昼、夕方、夜間)の機数による補正を加えて算出されます。

調査地点位置図

調査期間中(7日間)における測定結果一覧表

市町村調査地点集計項目平均騒音
レベル(d8)
測定回数
(回)※6
WECPNL
(参考値)
土浦市地点(1)
都和南小学校
(1)成田空港関連62.53542.6
(2)その他要因66.111.853.6
(3)すべての航空機騒音65.515354.0
地点(2)
天川幼稚園
(1)成田空港関連59.318348.0
(2)その他要因60.121250.7
(3)すべての航空機騒音59.839552.5
かすみがうら市地点(3)
消防団第5分団第1部
消防庫および隣接空地
(1)成田空港関連58.23538.2
(2)その他要因60.52341.3
(3)すべての航空機騒音59.35843.0
地点(4)
働く女性の家
(中央出張所)
(1)成田空港関連61.62239.6
(2)その他要因63.71744.2
(3)すべての航空機騒音62.63945.5
美浦村地点(5)
大谷小学校
(1)成田空港関連61.640655.4
(2)その他要因59.52041.1
(3)すべての航空機騒音61.642655.6
阿見町地点(6)
霞クリーンセンター
(1)成田空港関連63.813950.4
(2)その他要因63.033453.2
(3)すべての航空機騒音63.347355.1

※6 調査期間中(7日間)において航空機騒音として測定された総回数です。

4.よくあるご質問

通常の飛行コースを外れて飛行している航空機を見ることがまれにありますが、なぜ飛行コースを外れるのでしょうか?

航空機は、悪天候時、航空機の安全間隔の設定時及び航空機の増加に伴う安全確保のために飛行コースに幅を持たせた面的な運用時に、通常の飛行コース以外のルートも飛行することがあります。

なお、NAAは、利根川から九十九里海岸の間の離陸・着陸にかかる飛行コースの監視を行っており、合理的な理由がなく飛行コースを外れた航空機は、その便名を公表するとともに必要に応じ国土交通省から指導・監督が行われます。

成田空港に離着陸した航空機の飛行コースを確認することは出来ますか?

成田国際空港株式会社は、飛行コースの情報公開を環境こみゅにてぃの航路ページで行っており、下記の公開範囲内の航跡情報を確認することが可能です。また、NAAビル情報コーナーや地域相談センターにおいても公開を行っております。

公開範囲

成田空港を中心として、東西65km(東:40km、西:25km)南北 85km(南:40km、北:45km)

高度

出発機:10,000フィート(約3,000m)未満、到着機:8,000フィート(約2,400m)未満