大気質編

空港が周辺区域の大気質に影響を及ぼすことのないよう、きれいな空気を守るための対策を講じています。

ATMOSPHERIC1 ビニールハウスの汚れって?

航空機の影響でビニールハウスが汚れるようになったという声を受けて、空港周辺地域のビニールハウスの調査を行いました。

ビニールハウスはなぜ汚れるのか

空港周辺のビニールハウスが黒ずんで汚れるという声が出ていますが、それが航空機の影響かどうかは慎重に検討してみる必要があります。

科学的に調査

当社(成田国際空港株式会社)では、平成7年3月から空港周辺地域にビニールハウスを設置し、汚れについてさまざまな角度から科学的に調べてきました。

ATMOSPHERIC2 調べた結果は…

調べたところ、ビニールハウスの汚れの原因が航空機であるという結果は出ていません。

ビニールハウスの汚れは土ぼこり

これまでの調査では、ビニールハウスの汚れは空気中の粉じんが時間とともに少しずつ付着したものでした。

粉じんの成分には炭素物質も含まれていましたが、大部分は土ぼこりでした。

遠隔地点との比較結果

空港周辺と空港から約35Km離れた地点のビニールハウスを比較した結果、汚れの程度も成分も差はほとんどありませんでした。

地域の方々と一緒に詳しい調査

平成13年6月から地域の方々と一緒にさらに詳しい調査を進めましたが、ビニールハウスの汚れの原因は航空機ではありませんでした。

ATMOSPHERIC3 さまざまな角度から調べる

空港が原因で空気が汚れているのか、どんな影響があるのか、それを調べることがすべての出発点です。

6地点で24時間測定

主な測定場所

航空機の運航や空港自体が周辺の空気に及ぼしている影響を調べるため、空港内外の6地点に大気質測定局を設置して、年間を通じ24時間体制で測定をしています。

環境基準を満たしているか

環境基準というのは、人の健康と生活環境を守るために、維持していくことが望ましい基準として国が定めたものです。空港周辺では光化学オキシダント、浮遊粒子状物質など5項目について、基準を満たしているか調べています。

全般的に良好

空港周辺の大気質は環境基準をほぼ満たしていて、千葉県全体と同じで全般的に良好という測定結果が出ています。

しかし、経済の発展や自動車の増加などによって大気質への影響は免れませんから、注意深く見守っていく必要があります。

主な測定項目

光化学オキシダント(Ox)

天気が良い日に発生しやすく、濃度が高くなると目や喉を強く刺激することがあります。

二酸化窒素(NO2)

自動車や工場からの排ガスに含まれる物質で、眼への刺激や呼吸器系に対して影響を与えます。

一酸化炭素(CO)

工場などからの排ガスに含まれる物質で、吸引すると頭痛やめまいを引き起こします。

二酸化硫黄(SO2)

石油などに含まれる硫黄分の燃焼に伴い発生する物質で、ぜん息を引き起こすほか、酸性雨の原因となります。

浮遊粒子状物質(SPM)

大気中に浮遊している0.01mm以下の粒子状物質で、大量に吸引すると肺や気管支に付着して人体に影響を与えます。

ATMOSPHERIC4 航空機が空気を汚さないために

航空機そのものが空気を汚すことのないよう努力しています。

航空機エンジンの排出規制

国際的なルールに従って、航空機エンジンの排出規制を強化してきました。

排出規制と航空機エンジンの性能向上に伴い、たとえば窒素酸化物の排出量は15年前とくらべると20%以上削減されています。

地上でも細心の注意

航空機は地上にいるときも、機内の電力や空調のために小型エンジン(APU)を使用しますが、エンジンを使用すると排気ガスや騒音が発生するため、当社(成田国際空港株式会社)では静かで排気ガスを出さない地上動力施設(GPU)の設置を進め、排気ガスを減らすようにしています。

ATMOSPHERIC5 空港の中でも懸命に

空気を汚さない努力は空港の中でもいろいろな形で行われています。

低公害車の導入

成田空港では、一般のガソリン車やディーゼル車にくらべて大気汚染物質の排出量が少ない天然ガス自動車の導入を進めています。

自然の力をかりて

空気を汚さないために、自然の力をかりるのも、有効な方法のひとつです。

無害でクリーンな太陽光発電システムの設置や、二酸化炭素を吸収して酸素をつくる植物の働きに着目して緑化整備にも力を入れています。

また、ゴミもなるべく焼却しないよう生ゴミのコンポスト(堆肥)化に取り組んでおり、コンポストは空港内の緑化整備に使用するほか、空港周辺住民の方々にも利用していただいています。

ATMOSPHERIC6 空気のいろんなことがわかるよ!

成田空港では、周辺の大気質の測定結果を情報公開しています。

測定結果の公開

平成21年4月より、空港周辺の大気質の時間ごとの変化などを広く公開するために、環境情報をインターネットで公開しています。