移動等円滑化取組計画書・報告書

概要

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第九十一号)第九条の四(取組の計画)、第九条の五(取組の報告)、第九条の六(取組計画の公表)の規定に基づき、国土交通大臣が定める、旅客施設における移動円滑化のために公共交通事業者等が講ずる措置によって達成すべき目標および当該目標を達成するために併せて講ずるべき措置に関し、各交通事業者の判断の基準となる目標に対する取組計画および取組報告について、国土交通省へ提出しています。

同規定に基づき、国土交通省宛て報告を行った成田国際空港株式会社における取組計画および取組報告については、下記のとおりです。

なお、成田空港で提供している具体的なサービスについては、成田国際空港公式WEBサイト上の「お手伝いの必要なお客様トップ」をご覧ください。その他、成田空港において実施している様々な取り組みについては、「成田国際空港におけるユニバーサルデザインの取り組み」をご覧ください。

移動等円滑化取組計画書(2024年度)

令和6年6月28日 提出

住所 〒282-8601 千葉県成田市成田国際空港内 NAAビル

事業者名 成田国際空港株式会社

代表者名(役職名及び氏名) 代表取締役社長 田村 明比古

Ⅰ 現状の課題及び中期的な対応方針

  • 当社が管理・運営している成田空港は、報告書に記載の通り移動円滑化基準に適合し、かつ基準を上回る積極的なユニバーサルデザイン(UD)化を推進してきたところである。
  • 他方で、当社は社会的責任の高い交通を担う企業としてSDGsやESG経営に取り組んでおり、加えて、今後の国内外の高齢化の進展による将来の旅客構成変化に対応することは成田空港にとって大きな経営課題である。そのため、引き続き積極的にユニバーサルデザイン化を推進していくことの重要性は成田空港にとって極めて高い。
  • したがって、成田空港は障害者、有識者、空港関連事業者で構成される「成田空港UD推進委員会」における当事者参加による議論を中心としたユニバーサルデザイン化の推進を今後も継続・強化し、よりユニバーサルかつアクセシブルな空港を目指す。
  • なお、成田空港UD推進委員会で策定した「成田空港UD基本計画」においては「多様な利用者が安全・安心・快適に利用できる空港」を目標としている。昨年度は第1ターミナルにおいてその目標が実現できているかどうかの確認・評価を障害当事者の方々が行い、結果を踏まえ、UD基本計画の改訂や更なる改善につながる視点を確認したところ。今年度以降、第2ターミナル及び第3ターミナルにおいて現地評価を実施し、更なるUDの継続を推進していきたい。

Ⅱ 移動等円滑化に関する措置

1.旅客施設及び車両等を公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置

対象となる旅客施設及び車両等計画内容(計画対象期間及び事業の主な内容)
エスカレーターの音声案内の整備
第2ターミナル(7台)に音声案内装置を設置する。(2024年度)
旅客搭乗橋の更新
成田国際空港第2ターミナルビルにおいて、搭乗橋の更新に合わせて移動円滑化基準となるトンネル勾配1/12以下、トンネル間の渡り板は勾配を緩和したバリアフリータイプの搭乗橋を導入する。

2.旅客施設及び車両等を使用した役務の提供の方法に関し法第八条第二項及び第三項の主務省令で定める基準を遵守するために必要な措置

対策計画内容(計画対象期間及び事業の主な内容)
「公共交通機関の役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン 役務編」の周知徹底と教育研修への反映
国土交通省が策定する「公共交通機関の役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン 役務編」について関係部署に周知徹底を図るとともに、移動等円滑化を図るために必要な教育訓練においても、その対象や内容を考慮しつつ同ガイドラインの内容について反映し、適切な役務を提供する。(2021年度~継続的に実施)
空港内事業者との協力
極めて多数の事業者により運営される空港という交通インフラの特性に鑑み、当社のみならず空港内事業者全体において適正な役務提供を実施していく必要があることから、特に「差別的取り扱いの禁止」及び「合理的配慮の提供」等の基本的かつ重要な論点について空港内事業者との情報連携を行う等理解促進に注力し、成田空港全体としての適切な役務提供に努める。(2021年度~継続的に実施)

3.高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる乗降についての介助、旅客施設における誘導その他の支援

対策計画内容(計画対象機関及び事業の主な内容)
導入した各種UDツールの利用喚起
ご案内カウンターに配置したヘルプストラップや難聴者向けスピーカー、並びにサポートセンターにおいて聴覚障害者向けの対応として導入している空港電話リレーサービスなどのツールについては、必要な方々にサービスの存在を知ってもらう事が重要になるため、例年に引き続き利用喚起のためのPR活動を行う。(導入後~継続的に実施)
「WHILL自動運転サービス」の利用促進
第1・2ターミナルの出国審査後の国際線出発エリアで2023年4月に導入したお客様向け自動運転パーソナルモビリティ「WHILL」の利用促進を図る。

4.高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる情報の提供

対策計画内容(計画対象期間及び事業の主な内容)
WEBアクセシビリティの向上
NAAが管理する成田国際空港公式WEBサイトについて、「JIS X8341-3:2016」適合レベルAA準拠を継続する。(2018年度~継続的に実施)
ターミナル内の情報掲出の整理
これまで自動放送のアナウンスが混雑していたエリアについて、流す情報を整理し、重要情報が分かりやすく伝わるようにする。FISの更新において、車椅子利用者・ロービジョンの方含め障害当事者の見え方を考慮した上で表示内容・方法を検討し、可能な範囲で反映させる。

5.移動等円滑化を図るために必要な教育訓練

対策計画内容(計画対象期間及び事業の主な内容)
社員に対する研修
当社の社員に対して、障害等のある方々への理解を深めるための体験型ユニバーサルサービスセミナーを受講させる(2019年度~継続的に実施)。体験型セミナーの他、より幅広い社員を対象とし柔軟に受講できる手段として、eラーニングなどの手段も取り入れながら研修を継続実施する。
空港全体にUDを浸透させる研修
空港スタッフ向けの講演会やセミナー・研修等を実施するとともに、従業員向けポータルサイト上でのeラーニングを実施。ポスター等による啓発を継続する。(2019年度~継続的に実施)
職種毎のスキルを高める研修
ご案内カウンタースタッフに手話検定やサービス介助士の資格の取得を促進するとともに、手話研修を実施する。(2019年度~以降継続的に実施 ※2020年度はコロナウイルスの影響で中止)
避難誘導訓練
災害時において、障害者の避難誘導を確実に行うことができるよう、避難誘導訓練を実施する(2019年度~以降継続的に実施)。併せて、資料等により緊急時における障害者等の避難誘導を適切に実施できるように、テナント等に周知・教育を図る。

6.高齢者、障害者等が高齢者障害者等用施設等を円滑に利用するために必要となる適正な配慮についての旅客施設及び車両等の利用者に対する広報活動及び啓発活動

対策計画内容(計画対象期間及び事業の主な内容)
デジタルサイネージやポスター等を活用した啓発活動の実施
国土交通省が作成しているトイレ利用に関する啓発コンテンツや車椅子使用者用駐車スペースの適正利用に関して、既にデジタルサイネージやポスター等の媒体を用いた館内におけるお客様向け周知を実施しているところであるが、これを継続的に実施し、当該施設等の円滑利用の広報活動に努める。(2021年度~以降継続的に実施)

Ⅲ 移動等円滑化の促進のためⅡと併せて講ずべき措置

  • 成田空港UD推進委員会の下部組織として、障害者、有識者、当社社員で構成され、全般的な議論を行う「分科会」及び専門的な議論を行う「ワーキンググループ(WG)」を設置し、取り組みの具体的な内容について、当事者参加を前提として多様な視点で議論し決定するとともに、実施後には取り組みの評価(当事者評価・第3者評価)を実施し、必要に応じて改善することで継続的にUD水準を高めていく。
  • なお、社会環境により実施が延期となっていた評価にかかる空港内での現場確認については、2023年度中に第1ターミナルにて実施。2024年度以降第2ターミナル及び第3ターミナルも実施予定。

Ⅳ 前年度計画書からの変更内容

  • なし

V 計画書の公表方法

  • 成田国際空港株式会社ホームページ「移動等円滑化取組計画書・報告書」に掲載

VI その他計画に関連する事項

中期的な対応方針や移動円滑化に関する措置に記載された事項については、原則として成田空港UD委員会にて議論され障害者・有識者とともに策定した成田空港UD基本計画に基づいているが、UD基本計画やそこに記載された具体的な取り組みについては、障害者や有識者との議論の中でその方策が変更されることがある。

移動等円滑化取組報告書(航空旅客ターミナル施設)(2023年度実績)

住所 〒282-8601 千葉県成田市成田国際空港内 NAAビル

事業者名 成田国際空港株式会社

代表者名(役職名及び氏名) 代表取締役社長 田村 明比古

Ⅰ 前年度の移動等円滑化取組計画書の内容の実施状況

(1)移動等円滑化に関する措置の実施状況

1.航空旅客ターミナル施設を公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置

対象となる航空旅客ターミナル施設現行計画の内容(計画対象期間及び事業の主な内容)前年度の実施状況
エスカレーターの音声案内の整備
音声案内が設置されていないエスカレーターの一部について音声案内のための設備を設置する。(2020年度~)
第2ターミナル(5台)に音声案内装置を設置した。(2023年度)
地下コンコース傾斜路勾配の改修
移動円滑化基準(1/12以下)に適合しているが、車椅子利用者等に配慮し勾配を1/15に改修する。(2023年度)
車椅子利用者等に配慮し勾配を1/15に改修した。(2023年度)

2.航空旅客ターミナル施設を使用した役務の提供の方法に関し法第八条第二項及び第三項の主務省令で定める基準を遵守するために必要な措置

対策現行計画の内容(計画対象期間及び事業の主な内容)前年度の実施状況
「公共交通機関の役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン 役務編」の周知徹底と教育研修への反映
国土交通省が策定する「公共交通機関の役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン 役務編」について関係部署に周知徹底を図るとともに、移動等円滑化を図るために必要な教育訓練においても、その対象や内容を考慮しつつ同ガイドラインの内容について反映し、適切な役務を提供する。(2021年度~継続的に実施)
高齢者や障害者等に対する理解を深め、今後の施設改修・サービス改善等における知識と技術を習得させるため、体験型ユニバーサルサービスセミナーを実施。
空港内事業者との協力
極めて多数の事業者により運営される空港という交通インフラの特性に鑑み、当社のみならず空港内事業者全体において適正な役務提供を実施していく必要があることから、特に「差別的取り扱いの禁止」及び「合理的配慮の提供」等の基本的かつ重要な論点について空港内事業者との情報連携を行う等理解促進に注力し、成田空港全体としての適切な役務提供に努める。(2021年度~継続的に実施)
障害等への理解と適切な対応方法等を適宜確認・学習できるよう、空港内事業者向けのマナーブックにユニバーサルデザインに関する情報を掲載し、情報発信している。

3.高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる乗降についての介助、旅客施設における誘導その他の支援

対策現行計画の内容(計画対象期間及び事業の主な内容)前年度の実施状況
導入した各種UDツールの利用喚起
ご案内カウンターに配置したヘルプストラップや難聴者向けスピーカーなどの利用が必ずしも多いわけではなく、認知度も低いと考えられることから、利用喚起のためのPR活動を行う。(2020年度~継続的に実施)
知的・精神・発達障害等のある方々とそのご家族が安心して空港を利用出来るようにセンサリールームの体験会を実施し、利用者に空港での取り組みを紹介した。
「WHILL自動運転サービス」の利用促進
第1・2ターミナルの出国審査後の国際線出発エリアで2023年4月に導入したお客様向け自動運転パーソナルモビリティ「WHILL」の利用促進を図る。
成田空港公式サイトでの紹介及び、WHILLの乗降場に案内盤を掲出して利用方法等を明確にする工夫を実施した。

4.高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる情報の提供

対策現行計画の内容(計画対象期間及び事業の主な内容)前年度の実施状況
導入したコミュニケーション支援ツールの見直し
昨年度までに導入した各種ツールについて、利用のされ方や施設展開などに応じて見直しを図る。(2020年度~継続的に実施)
施設展開や運用方法の変更に応じて適宜ツールの見直しを行っている。
WEBアクセシビリティの向上
NAAが管理する成田国際空港公式WEBサイトについて、「JIS X8341-3:2016」適合レベルAA準拠を継続する。(2018年度~継続的に実施)
2022年12月に該当サイトにおいて「JIS X8341-3:2016」適合レベルAA準拠を達成。その後も継続して同レベルを維持出来るよう、社内担当者への周知も実施。

5.移動等円滑化を図るために必要な教育訓練

対策現行計画の内容(計画対象期間及び事業の主な内容)前年度の実施状況
社員に対する研修
当社の全社員に対して、過年度対応も含めユニバーサルサービスセミナーを受講させる。(2019年度~継続的に実施)
2020年度以降に入社した社員を中心とし、体験型ユニバーサルサービス研修を実施した。
空港全体にUDを浸透させる研修
空港スタッフ向けに講演会やUDセミナー等を実施するとともに、従業員向けwebサイト上でのeラーニング、ポスター等による啓発を継続する。(2019年度~継続的に実施)
グループ会社社員を中心とした空港スタッフ向けに、UDへの理解を深めるための研修動画を配信。またポスター等による啓発も例年に引き続き実施した。
職種毎のスキルを高める研修
ご案内カウンタースタッフに手話検定やサービス介助士の資格の取得を促進するとともに、手話研修を実施する。(2019年度~以降継続的に実施※2020年度はコロナウイルスの影響で中止)
ご案内カウンタースタッフを対象にサービス介助士資格取得講習、資格試験、手話研修を実施した。
避難誘導訓練
災害時において、障害者の避難誘導を確実に行うことができるよう、避難誘導訓練を実施する。(2019年度~以降継続的に実施)
災害時において、障害者の避難誘導を確実に行うことができるよう、避難誘導訓練を実施した。また、障害者等の適切な避難誘導について書面によりテナント等に周知・教育を図った。

6.高齢者、障害者等が高齢者障害者等用施設等を円滑に利用するために必要となる適正な配慮についての航空旅客ターミナル施設の利用者に対する広報活動及び啓発活動

対策現行計画の内容(計画対象期間及び事業の主な内容)前年度の実施状況
デジタルサイネージやポスター等を活用した啓発活動の実施
国土交通省が作成しているトイレ利用に関する啓発コンテンツや車椅子使用者用駐車スペースの適正利用に関して、既にデジタルサイネージやポスター等の媒体を用いた館内におけるお客様向け周知を実施しているところであるが、これを継続的に実施し、当該施設等の円滑利用の広報活動に努める。(2021年度~以降継続的に実施)
バリアフリートイレや車椅子使用者用駐車スペース適正利用の啓発について、引き続きデジタルサイネージやポスター等の媒体を用いてお客様向け周知を実施した。

(2)移動等円滑化の促進を達成するために(1)と併せて講ずべき措置の実施状況

  • 成田空港UD推進委員会の下部組織として、障害者と有識者、当社社員で構成され、全般的な議論を行う「分科会」及び専門的な議論を行う「ワーキンググループ(WG)」を設置し、成田空港が行うユニバーサルデザインに関する取り組みの具体的な内容について、当事者参加を前提として多様な視点で議論を行った。また、UDスパイラルアップの視点により、「多様な利用者が安全・安心・快適に利用できる空港」が実現できたかの確認・評価を第1ターミナルにおいて実施した。
  • 社内推進体制として、CS・ES推進部で全社UD推進における事務局を担い、上記会議の開催等を行った。

(3)報告書の公表方法

  • 成田国際空港株式会社ホームページ「移動等円滑化取組計画書・報告書」に掲載

(4)その他

  • お客様がお使いになる特定のフライトについて、公式WEBサイトでメールアドレスを登録すると、該当フライトについて時刻変更等のステータス変更が生じた際、登録したメールへ通知される機能を導入

Ⅱ 航空旅客ターミナル施設の移動等円滑化の達成状況(航空旅客ターミナル施設ごとに記入)

航空旅客ターミナル施設の名称所在都道府県市町村一日当たりの利用者数人公共交通移動等円滑化基準省令適合の有無段差への対応搭乗ゲート総数(旅客搭乗橋設置数)視覚障害者誘導用ブロックの設置の有無案内設備の設置の有無障害者対応型便所の設置の有無
第1旅客ターミナル
千葉県成田市
47,021
59(39)
第1旅客ターミナル【参考】(CIQ)
千葉県成田市
-
-
第2旅客ターミナル
千葉県成田市
30,664
39(30)
第2旅客ターミナル【参考】(CIQ)
千葉県成田市
-
-
第3旅客ターミナル
千葉県成田市
18,652
25(0)
第3旅客ターミナル【参考】(CIQ)
千葉県成田市
-
-

計3ターミナルの搭乗ゲート総数(旅客搭乗橋設置数):123(69)

Ⅲ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則第六条の二で定める要件に関する事項

(1)過去3年度における1日当たりの平均利用者数が3万人以上の航空旅客ターミナル施設を設置又は管理している。

設置管理の有無:◯

(2)過去3年度における1日当たりの平均利用者数が3000人以上3万人未満の航空旅客ターミナル施設を設置又は管理していて、かつ、以下のいずれかに該当する。

  1. 1.中小企業者でない。
  2. 2.大企業者である公共交通事業者等が自社の株式を50%以上所有しているか、又は自社に対し50%以上出資している中小企業者である。

設置管理の有無:×